Mon Souvenir de la France

フランス留学で学んだこと・感じたことの覚え書き

2016年フランス語が変わる?!その目的と具体的な変更点

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前回の記事で言及したように、フランス語はラテン語から派生し、様々な地域の言語を吸収して今に至る。

英語とは違って、ローマ字に変なニョロニョロや点がついたりしている。
こんな感じ à é ç î è ô û...
これがフランス語の個性であって素敵だと思うのだが、この個性の一部が2016年から無くなってしまうらしい。

綴りの改革

La Réforme de l'Orthographeという文字が少し前にメディア上にちらほら登場した。
授業内でも結構深く触れられることがあった。

これは「綴りの改革」と訳せると思うのだが…。

具体的に何が変わるの?
せっかく覚えたのにそりゃないぜ

と世のフランス語学習者は思っているだろう。
私も少しそう思っていた。

改革のねらい

この改革はフランス語の単純化・簡易化をねらっている。

フランスの子供は「ディクテ(ディクテーション)」といって、先生や教材が読み上げたフランス語をそのままノートに書き写す訓練を小学生の時あたりにするらしい。
その甲斐あってこそ、複雑な発音や文法を聞き分けられるようになるのだろう。きっと。

しかしこのように小さい頃から訓練をした大人でさえも、文法や綴りを間違えることはよくあるそうだ。
フランス語難しいけど楽しいよってフランス人に言うと「フランス人の私たちだって間違えることがあるもの」とよく言われる。

それでも彼ら彼女らは、自国のその「難しい」言葉に誇りを持っているように見えるのだ。

なのになぜ今更改革をするのだろう?

あたかもつい最作られた改革のように思われているが、どうやら1990年から提唱されていたようだ。あらら

具体的な改革点

この改革はLe Conseil Supérieur de la Langue Française(フランス語高等評議会?)によって作成され、 l'académie Française(アカデミーフランセーズ)によって法的に有効化される。
(アカデミーフランセーズは、フランス語の保存と純化を目的に設立された歴史の深い機関)

主要な改革点は以下の通り

  • week-end ⇒ weekend 単語間を結ぶ《‐》が無くなる
  • coût ⇒ cout/abîme ⇒ abime 《i》と《u》につくl'accent circonflex(アクサンシルコンフレックス)が無くなる
  • oignon ⇒ ognon / nénuphar ⇒ nénufar 発音に関係ない文字が無くなる
  • およそ2400単語が変わる


この変更が適用されるのは、学校の新学期に合わせた2016年9月から。
適用されるのは主に学校の教科書らしい。

自然な流れ?

前回の記事でも述べたように、フランス語はとても複雑な経緯をたどってここまで来た。

時代が変われば、人の感性や常識も変わる。そうすれば書き方・話し方を含めた表現方法が変わるのは当然だ。

日本だって同じ。古文と現代文はもちろんのこと、今と少し近い近世の日本語だって現代語とは違う。

かつてのフランスでは『fromage(チーズ)』を『formage』と読み書きしていたそうだ。
ほら十分進化してきたのだ。

「フランス語は伝統的で美しい言葉。変えてはならない」
「フランス語の大虐殺だわ」
「若い世代と上の世代に穴が生まれる」

と保守的な意見を言っているフランス人にひとこと言いたい。

大したことないよ

まぁフランス語や自国の文化に誇りを持ち、新たなRéforme改革が出るとすぐ反対・抗議をするフランス人はとても人間らしくて好きだが


次回はもう一つの新たなフランスのRéforme改革について